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よく気付いたな…
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ある雨の日に、十字路になっている交差点で信号待ちをしていたときのこと。
ふと見ると、道のむこうに全身がもやもやした影みたいのに包まれた男性が立っていた。
「うわー、イヤな感じ…」
信号が青になったので、傘で顔を隠して通り過ぎようとしたら、
すーっとその男が寄ってきて、すれ違いざまに「よく気付いたな…」と小さな声で言って通り過ぎていった。 |
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肝試し
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夜遊びをしていた中学生達四人組が、学校に行って肝試しをしようということになった。
内容は単純で、非常階段を使って屋上までいって戻ってくる、というものだ。
屋上に着いた証拠に壁の上から手を振れば、その手が見えるだろう、ということになった。
そして肝試しが始まった。
まず1人目。屋上から手が見えた。続いて2人目、3人目。同じように屋上に着いた知らせの手が見えた。
最後の4人目。「4だってよ。縁起悪いな。」などとさんざん脅かされてのスタート。
そして4人目が屋上で手を振った。その瞬間、窓という窓から手が出てきて、一斉に手を振っていた。 |
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マイナスドライバー
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まだ小さかった頃、銭湯に行った。
私はふと、その湯船の横にあるドアが気になってドアの前まで行った。
ドアノブの直下に大きな鍵穴があるのだ。
何の部屋なのか、ワクワクして覗いた。 …が、向こう側は何かに覆われていて何も見えない。
なんだ、ツマらない。いったん顔をあげたが、何を思ったか、私はもう一度鍵穴を覗き込んでみた。
ぼんやりとした明かりの中、ボイラーとおぼしき器械が見えた。幼い私は夢中になって覗いていた。
が、何かを感じて、私は目を離し身を引いた。
そして次の瞬間、鍵穴から飛び出したマイナスドライバーの先端が、狂ったように回っていた。。。 |
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落ちればよかったのに…
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カップルが、とある山道をドライブしていた。周りはすでに薄暗くなってきていた。
すると突然、前方に長い髪の女性が現れた。
男はあわててブレーキを踏んで表に出たが、そこには女性の姿は無い。
理解できないまま前方を見ると、そこは断崖絶壁でブレーキを踏んでいなければ落ちていたところだった。
女は「きっとあの女性は、私達を助けてくれた良い霊だったのよ。」と言った。
その直後背後から「落ちれば良かったのに…」と声がし、振り返ると先ほどの女性が血だらけで立っていた。 |
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4月1日
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ニューヨークにある夫婦が住んでいた。
春になったばかりの寒い日の朝、病気の妻の容体が急変し、夫は妻を車に乗せ病院へと急いだ。
医師が言うには大変危険な状態で、すぐに手術に踏み切る必要があるとのことだった。
手術が始まって数時間が経った。その間、夫は手術室の前から離れようとしなかった。
ふいに「手術中」のランプが消え中から医師が現れた。夫が聞きたいことは1つだった。
「妻は…手術はうまくいったんですか?」
医師はにっこりと笑って答えた。
「大成功ですよ。奥さんはもう大丈夫! お会いになりますか?」
喜びに足をもつれさせながら、夫は部屋に駆け込んだ。が、そこには、すでに息絶えた妻の姿があった。
すると夫の背後から、満面の笑みを浮かべた医師が、腹を抱えながらこう言った。
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